Paseoフラメンコ 2006年 1月号
"10月19日(水)東京・新宿 東京エル・フラメンコ、ほか東京、大阪、京都、岡山アメリカ西海岸を拠点にして活動を続けているフラメンコギタリスト、ホセ・タナカ(本名:田中保世)の帰国ライブを新宿エルフラメンコで観た。" ........."父はフラメンコギタリスト、母は踊り手であった。 幼少期に叔父に当るギタリスト木越剛氏からフラメンコギターの手ほどきを受けたが、やがてロックに熱中し、高校卒業後ハリウッドのロックの専門学校へ。 しかし20代半ばでフラメンコの魅力を再発見しスペインへ留学。 その後アメリカを本拠にフラメンコギタリストとして活動を始めたという。
今回のライブは、発売して間もない彼のセカンドアルバム『ジュビア』(ミディ)から選曲された。1曲目は歌、パルマが入った全員によるアレグリア。 同じ邦人ギタリストではあるが何か違う。 そう、匂いが違うのだ。 荒削りだが、そのキッパリした輪郭の存在感は何なのか。 タンゴ、ソレア、グアヒーラと続き、第一部の最後はブレリアだったが、これは圧巻だった。 リズムのバリエーションやニュアンスが驚くほど豊富で枯れることがなく、リズム遊びに命を掛けるフラメンコそのものだった。" ............"ホセ・タナカは予想以上に正統派のモダン・スタイルだった。 と同時に同じ邦人アーティストであっても、依って立つ環境によって随分違うものだとも思った。 もちろん本人の資質もあるだろうが、決める時の思い切りの良さ、主張の強さはまさにプロであり堂々たるものだった。 日本的な対人関係のしがらみから自由になれる代わりに、ドライな競争や孤独感に耐えなければならないアメリカ。そんな厳しい環境の中では真に自立せざるを得ないはずだ。" (加部 洋)
Player 2005年 1月号
ホセ・タナカ/ジュビア
68年京都出身、高校卒業後にMITに留学、その後フラメンコの魅力を再発見しにスペインへ留学して本格的なフラメンコ活動を始めたというホセ・タナカの2ndアルバム。 世界的に有名なオペラ歌手ジュリア・ミゲネスのツアーにもソリストとしての参加経歴を持つ彼は、欧米で活動するフラメンコ・ギタリストだが、本作でもその滑舌の良い演奏を十分に披露している。 フラメンコ・シンガーのマヌエル・デ・ラ・マレーナや、トップダンサーのドミンゴ・オルテガも迎えたアンサンブルは、ときに扇情的に、ときにスピリチュアルにリスナーの魂を掴みにくるが、思いのほか繊細なギタープレイが印象に残る。(永田 裕)
Guitar magazine 2005年 1月号
ジュビア
この躍動感。 この生命感。 そして、ゴツゴツとしたむき出しの感性。 ”日本人離れした”という賛辞は半ば手垢にまみれたものだが、この俊英には掛け値なしにこの言葉を贈りたい。 欧米を中心に活動する日本人フラメンコ・ギタリスト、ホセ・タナカの2ndアルバム。荒々しい高速パッセージから、情感たっぷりのタメ、クセのあるリズム感まで、まさに本物である。 フラメンコを奏でる日本人は少なくないが、やはり日本人らしい端正さが顔を出すもの。 だが、彼の場合は根源的な”フラメンコ臭”を発しているというか・・・。マヌエル・デ・ラ・マレーナ(歌)、ドミンゴ・オルテガといった本場のお歴々とわたり合う姿も極めて自然だ。 ジャンルを問わず”本物”には一聴の価値がある。(石川真男)
現代ギター 1999年9月号
ジプシーズ・ドリーム
[カンタ・パラチ〜タンゴ、ミ・エルマロ・ペドロ〜ブレリアス、ポエマ・デ・パストール〜タンゴ、ミ・ディオス〜ミネーラ、サンタ・バーバラ〜アレグリア、セーニョ・ジターノ〜ブレリアス、ガダルキヴィル〜ロンデーニャ、コスモス〜ルンバ] 演奏者は68年京都生まれの日本人。 フラメンコ・ギターとダンスを職業とする両親より保世=ホセ(本名・田中保世)と名付けられるほどの環境に育ったという。 一時ロックギターを志して渡米したが、フラメンコに復帰、スペインで修行の後、現在はアメリカでかなりの売れっ子だという。 ときにモダンなタッチも加え、フルートやサックス、エレキベースが物憂げで現代的なセンスを醸し出すが、カンテとの合わせや、ソロ(ロンデーニャ)では伝統的なスタイルによる奥深いフラメンコを聴かせる。 モダンな感覚と伝統に根ざしたスタイルをほどよく使い別けている感じ。 若々しい感性に溢れたエネルギッシュな演奏だ。(高橋 望)
K-ITE LAND 1999年 5月号
現在、月平均20〜25日ペースで全米各地でライブコンサートを行っているJose Tanaka(本名:田中保世)。彼のアルバム「ジプシーズ・ドリーム」は、ジプシーたちが、長い年月を経て育て上げたフラメンコの血を脈々と漲らせるアルバムだ。 Jesus Montoyaのカンテ・ホンド(奥深い歌)で極度の緊張感を覚え、ホセのフラメンコ・ギターで熱まさしく、血が踊る感覚だ。 ラストCOSMOSまで、頭の中は、自然にパルマでリズムをとり、それがホセへの拍手となって幕を閉じる。 まさに、心を揺さぶる一枚だ。(Spunky)